資金調達の選択肢は、銀行借入だけではない
経営という名の果てしない航海において、羅針盤となるのは「資本の効率」です。
優れた事業基盤を持ち、次なる成長や承継を見据える経営者にとって、資金調達が不可避となる場面があります。従来、資金調達に際しては、銀行借り入れという間接金融に頼ることがほぼ唯一の選択肢でしたが、現代においては、最先端の直接金融により資金調達をする事例も出つつあります。直接金融に踏み出すときには、経営及び法務の観点からの最適化がなされた戦略的意思決定が必要となります。
しかし、現在の直接金融に関する規制と実務を見渡したとき、そこには慣行として定着した費用構造があります。
「標準パッケージ」には何が含まれているか
直接金融(社債や資本調達)を検討する際、多くの経営者が提示されるのは、証券会社や信託銀行による「標準的なパッケージ」です。
「金商法上の開示規制への厳格な対応」「日本証券業協会の自主規制ルールに基づく引受け審査」などなど。
これらの言葉は一見、合理的で不可欠なものに聞こえます。しかし、その内訳を分解すると、皆様の事業から生み出されたキャッシュが手数料として社外に流出する、重層的な中間マージンの構造が見えてきます。
たとえば20億円規模の社債発行を行うとします。この「標準パッケージ」を選択することは、経営学的観点から見れば、「5年間、特定の金融機関のために無償で働き続ける」に比肩するインパクトを伴うケースが少なくありません。「標準パッケージ」に支払う費用がEBITから直接差し引かれ、本来、再投資に回されるべきフリーキャッシュフローを毀損します。
失うのは、その年の利益だけではない
標準的なパッケージを利用すると、初期費用と維持費を合わせ、5年間で数千万円単位のコストが積み上がる傾向にあります。これを、弁護士が法務的観点からスキームを最適化したモデルと比較すると、数百万円から、場合によっては数千万円規模の「コストの適正化」が可能である実態が見えてきます。
この流出は、単なる「単年度の経費増」では終わりません。経営において最も考慮すべきは、「複利による機会損失」という視点です。
仮に5年間で7000万円の利益が流出するとすれば、営業利益率5%の企業にとって、その利益を稼ぎ出すには14億円の売上が必要です。しかし、真の損失はそれだけにとどまりません。
もし、この7000万円が流出せずに手元に残れば、それは次なる事業への成長投資や設備、あるいは優秀な人材獲得のための原資となります。そこで生み出されたであろう利益が、さらに次の投資を呼ぶ——。
本来、事業に再投資されて次なる利益を生むはずだった「資本の種」が、金融機関のシステム維持費として消えていく。この「投資されなかった資本」が失った将来価値(機会費用)までを含めれば、実質的な損失額は、表面上のコストを遥かに上回る巨大な雪だるまとなって、貴社の未来のバランスシートを蝕んでいくのです。
本来なら「企業の筋肉」になるはずだった大切な利益が、旧来の慣行に基づく名目で社外に流出していく構造を放置することは、自社の成長エンジンに自らブレーキをかけていることに他なりません。
なぜ、ここまで差が出るのか
なぜ、これほどの差が出るのか。それは、金融機関のパッケージに、貴社の事業にとって「過剰ではあるが法律上必要」とされる対策コストが、業界の慣行として多分に上乗せされているからです。
- 金融機関が維持している高額なシステムの利用料
- 金融商品取引法や自主規制ルールを盾にした、重層的な事務代行手数料
しかし、規制の目的を正しく読み解けば、高額の費用を要する外部インフラに頼らずとも、より堅牢で自由なスキームは構築できるのです。
調達の設計を変えれば、資金は事業に残る
高度な金融法務によって資金調達の手法を最適化します。それによって、事業成長のための資金が手元に残る余地が生まれます。
銀行融資という間接金融から直接金融にフィールドを展開しようとするときに、不必要なコストを支払わされたのでは本末転倒です。こうした流出を最小化し、貴社のキャッシュフローを可能な限り成長のための燃料として事業に投下できるようにします。こうした場面では、金融と法務の両方に通じた弁護士の専門性が力を発揮すると確信しています。